2006年 01月 16日
ニューヨークの裏の顔 その1 |
日本は大雪で大変なことになっているが、ニューヨークでも久々に雪が積もった。きっとこれから2月にかけてたくさん降るんだろうな。。。
さて、先月のプレゼンテーションで、私はゴミ問題と消費社会について話したのだが、それは面白い体験をしたことがきっかけだったのでここにも書いておこう。その体験とは、いまメディアで注目を集めている『Dumpster Diving』だ。
『Dumpster Diving』とは、はっきり言ってゴミ漁りである。ストリートやお店のゴミ捨て場に行き、ゴミ袋を開けて、そこから食べ物や物をいただいちゃうという行為。(Dumpster=大きなアメリカ製ゴミ箱の商品名。Diving=飛び込み、もぐること。)こういった行為はホームレスや失業者の人たちがやるもの、というイメージがありがちだが、いまや普通に家をもち、収入のある人たちの間に広がっているという。それは消費社会への問題提起と、単に生活コストを抑えるため、という両方の目的があるようだ。
ある日、友人が何かの記事で、ニューヨークに『Dumpster Diving』をやっているグループがいると知り、「面白そうだから行ってみようよ」と私を誘ってきた。私は少々抵抗があったが、市民活動という意味では興味があったので行ってみることにした。
この日の集合場所は夜9:30頃のマンハッタン35丁目×3rd Avenue。そこで『Dumpster Diving』グループの人たちに合う。若い学生やら小奇麗な社会人やら総勢15名ほどいただろうか。簡単な自己紹介のあと、一行は3rd Avenue沿いの閉店しつつあるスーパーマーケットへ。そして店の前にあった黒いゴミ袋を次々に開け始めた。
私は勝手がわからず最初は見ていた。しかし!驚いたことにグループの人が開けたゴミ袋の中からは、まだ未開封で賞味期限の切れていない食べ物がたくさん出てきた。なぜ捨てられているかというと、パッケージがちょっと汚れていたり、形が崩れているためである。中身には全く影響がない。
買えば3ドルほどするスープ缶も大量に出てきた。これらはラベルの一部が破れていたり、缶のどこかがへこんでいたため捨てられていた。賞味期限は来年!みんなで分けてもまだ余り、様子をうかがっていた通りすがりの人までが持って帰った。
卵はその日に入荷されたと思われるパックがたくさん捨ててあった。開けてみると1パックの中で1コだけ割れている。でもそのパックごと捨てられちゃうのだ。バナナは外側が茶色くなりかけているが、触った感じでは「まだイケる」。それに、この程度ならクイーンズのスーパーに普通に売られているぞ(笑)。
面白くなってきた私は、次にみんなで行ったスーパーマーケットではしっかり「漁った」。大量のベーグル、野菜パック、まだしっかり凍っている賞味期限前のエビ、クッキーにケーキ。そして食べ物だけではない。汚れも破れもない、文房具の類。なぜ捨てる?賞味期限切れたのか!?私は買えば数ドルするスコッチテープ(セロハンテープ)のセットをいくつもゲットした。
食べ物については、パックに入っていなかったり、生のものは抵抗があったので、それ以外のものを持ち帰った。パンと缶詰、パックの野菜。一緒に参加していた小学校の先生は、缶詰を『ハリケーンカトリーナの被災者に送る』と言ってたくさん持ち帰った。
若い学生たちはその場でスイーツのパックを開け、むしゃむしゃと食べていた。私はこんなに食べ物を簡単に捨てるのかと驚いたし、袋を開けるごとに参加者同士で「野菜いる人ー!」「こっちはイタリアンブレッドよー」などと声を掛け合うその連帯感も楽しかった。一緒に狩りにでも出かけた気分だった。
参加者は私のように興味本位で来る人も多いようだが、中には食費の90%+猫のエサを『Dumpster Diving』で賄うという女性もいた。そしてグループのスタッフは、消費社会の問題提起を目的としているので、私たちがごみ漁りをしているそばで、「なにごと?」と集まってくる通行人にここぞとばかりチラシを配ったり、この日はTVの取材班が2つも来ていたので、インタビューでいかに簡単にゴミが発生しているかを語っていた。
高級スーパーマーケットはそれなりの客層をターゲットにしているから少しの汚れで店頭から外してしまうのもわかるけど、それにしても勿体無い!しかし、お店に寄っては問題意識を持ち、近くの教会に寄付をしているところもあると聞いた。初参加の私は問題を深く考える前に、食べ物や文房具をタダでゲットして得した気分だったし、きらびやかなニューヨークの裏の顔を見たからこそ、この街に別なルートから近づいた気がした。
おりしもスピーチクラスでは、次のプレゼンテーションは、現在の社会問題の中からトピックを選び、聞いている人に行動を起こさせるようなアピールをすることになっていた。私の中で「これだ!これをトピックにしよう!」とベルが鳴り、私は次の日からさっそくリサーチを始めた。そしてもう一つ、プレゼンのネタ集めとしてある場所に行くことにした。(つづく)
さて、先月のプレゼンテーションで、私はゴミ問題と消費社会について話したのだが、それは面白い体験をしたことがきっかけだったのでここにも書いておこう。その体験とは、いまメディアで注目を集めている『Dumpster Diving』だ。
『Dumpster Diving』とは、はっきり言ってゴミ漁りである。ストリートやお店のゴミ捨て場に行き、ゴミ袋を開けて、そこから食べ物や物をいただいちゃうという行為。(Dumpster=大きなアメリカ製ゴミ箱の商品名。Diving=飛び込み、もぐること。)こういった行為はホームレスや失業者の人たちがやるもの、というイメージがありがちだが、いまや普通に家をもち、収入のある人たちの間に広がっているという。それは消費社会への問題提起と、単に生活コストを抑えるため、という両方の目的があるようだ。
ある日、友人が何かの記事で、ニューヨークに『Dumpster Diving』をやっているグループがいると知り、「面白そうだから行ってみようよ」と私を誘ってきた。私は少々抵抗があったが、市民活動という意味では興味があったので行ってみることにした。
この日の集合場所は夜9:30頃のマンハッタン35丁目×3rd Avenue。そこで『Dumpster Diving』グループの人たちに合う。若い学生やら小奇麗な社会人やら総勢15名ほどいただろうか。簡単な自己紹介のあと、一行は3rd Avenue沿いの閉店しつつあるスーパーマーケットへ。そして店の前にあった黒いゴミ袋を次々に開け始めた。
私は勝手がわからず最初は見ていた。しかし!驚いたことにグループの人が開けたゴミ袋の中からは、まだ未開封で賞味期限の切れていない食べ物がたくさん出てきた。なぜ捨てられているかというと、パッケージがちょっと汚れていたり、形が崩れているためである。中身には全く影響がない。
買えば3ドルほどするスープ缶も大量に出てきた。これらはラベルの一部が破れていたり、缶のどこかがへこんでいたため捨てられていた。賞味期限は来年!みんなで分けてもまだ余り、様子をうかがっていた通りすがりの人までが持って帰った。
卵はその日に入荷されたと思われるパックがたくさん捨ててあった。開けてみると1パックの中で1コだけ割れている。でもそのパックごと捨てられちゃうのだ。バナナは外側が茶色くなりかけているが、触った感じでは「まだイケる」。それに、この程度ならクイーンズのスーパーに普通に売られているぞ(笑)。
面白くなってきた私は、次にみんなで行ったスーパーマーケットではしっかり「漁った」。大量のベーグル、野菜パック、まだしっかり凍っている賞味期限前のエビ、クッキーにケーキ。そして食べ物だけではない。汚れも破れもない、文房具の類。なぜ捨てる?賞味期限切れたのか!?私は買えば数ドルするスコッチテープ(セロハンテープ)のセットをいくつもゲットした。
食べ物については、パックに入っていなかったり、生のものは抵抗があったので、それ以外のものを持ち帰った。パンと缶詰、パックの野菜。一緒に参加していた小学校の先生は、缶詰を『ハリケーンカトリーナの被災者に送る』と言ってたくさん持ち帰った。
若い学生たちはその場でスイーツのパックを開け、むしゃむしゃと食べていた。私はこんなに食べ物を簡単に捨てるのかと驚いたし、袋を開けるごとに参加者同士で「野菜いる人ー!」「こっちはイタリアンブレッドよー」などと声を掛け合うその連帯感も楽しかった。一緒に狩りにでも出かけた気分だった。
参加者は私のように興味本位で来る人も多いようだが、中には食費の90%+猫のエサを『Dumpster Diving』で賄うという女性もいた。そしてグループのスタッフは、消費社会の問題提起を目的としているので、私たちがごみ漁りをしているそばで、「なにごと?」と集まってくる通行人にここぞとばかりチラシを配ったり、この日はTVの取材班が2つも来ていたので、インタビューでいかに簡単にゴミが発生しているかを語っていた。
高級スーパーマーケットはそれなりの客層をターゲットにしているから少しの汚れで店頭から外してしまうのもわかるけど、それにしても勿体無い!しかし、お店に寄っては問題意識を持ち、近くの教会に寄付をしているところもあると聞いた。初参加の私は問題を深く考える前に、食べ物や文房具をタダでゲットして得した気分だったし、きらびやかなニューヨークの裏の顔を見たからこそ、この街に別なルートから近づいた気がした。
おりしもスピーチクラスでは、次のプレゼンテーションは、現在の社会問題の中からトピックを選び、聞いている人に行動を起こさせるようなアピールをすることになっていた。私の中で「これだ!これをトピックにしよう!」とベルが鳴り、私は次の日からさっそくリサーチを始めた。そしてもう一つ、プレゼンのネタ集めとしてある場所に行くことにした。(つづく)
by gogo_sally_ny
| 2006-01-16 04:20
| NY・アメリカ・異文化