30代の留学 |
ここへ来る前は年齢を気にしていたが,ここへ来てからそんな固定観念はふっとんだ。各国から30代の生徒はたくさん来ている。が,教室では同等に机を並べて勉強するただの生徒。ディスカッションの時間になると,その意見から年代の違いは出てくるが,各国の文化の違いを楽しむように,年代による意見の違いを受け入れ,楽しんじゃっている。そう,たまたま年齢の違う「個」の集まりなだけである。私たちは,年齢も国境も性別も関係なく楽しい授業もハードな宿題も共有している。ほんと,年齢を気にすること自体すごくナンセンスに思えてきちゃうから不思議。
逆に私は,30代の留学は有利な点も多いと感じる。ある程度社会経験をしており,思いやりをもったコミュニケーションが出来る。客観的に,冷静に,物事を考えることができる。そして,精神的にもいろんな経験をしているから,自分というものを把握している。それゆえ,自分をコントロールすることができる。周りに振り回されずにペースを保てる。生活に対する切実さもあるが,人に対する寛容さや思いやりもある。(もちろん,これらは20代に比べて,という意味であって30代だから完璧な人間だということではありません。人間,いくつになっても迷走しているはず・・・(笑))
クラスメイトの女の子たちは20才過ぎの日本人と韓国人が多く,文化が似ているのか,どこに行くにもくっついている。一緒にいないと「仲間外れになる」という心理が働くようだ。でも20代後半の子になると,一人で行動できるようになる。そして30代になると,一人で行動「したがる」(笑)。クラスメイトとは仲良くやっているが,例えばこの前,「学生寮のパーティーに行こう」と誘われ,私があっさり「行かない」と言ったら,「えええ~!?なんで?」と,えらく驚いていた。私が一人で行動するのがとても不思議らしい。しまいには「私たちのこと嫌いなの!?」とまで言い出す始末。やれやれ(笑)。
昨日は快晴の日曜日だったので,私は一人で図書館のバルコニーで日光浴しながら読書に耽っていた。お昼頃クラスメイトのイタリア人女性ベローナが一人でふらりとやってきた。彼女は達者な英語でいつもクラスを盛り上げている人気者。若い子たちによく囲まれている。でも今日は,「たまには一人でぼ~っとしたい。」と,苦笑しながらCDプレーヤーを取り出した。お互い気持ちを察するかのように,ほんの少しだけ会話したあと,それぞれの領域に戻った。ベローナはとても美味しそうに青空に向かってタバコをふかしながら一人の時間を楽しんでいた。彼女は間もなく30歳になる。
ということで,しばしば迷走もするけど,こんな風にマイペースに過ごす30代の留学もなかなかよいぞ。私は昨日,時々本を置いて眼下に見える街を眺めながら,「あ~やっぱ思い切って来てよかったな!」って実感していた。
留学に限らず,何かにトライしようとした時,30代だからもう遅い,40代だからもうダメ・・・は,自分で自分を縛っちゃっているだけ,自分へ言い訳しているだけなのかもしれない。そのガチガチの枠は実は自分が作っちゃっているんだよね。だったら自分で外せばいい!
何歳かどうかにこだわるのは止めて,周囲の目を気にするのも止めて,「自分の意志は何か」にこだわりましょ!そういう意味では,各国の諸君は20代でもしっかり自分の意見を持っている。ぜひ見習いたい。頑張りましょ,30代!!