2004年 12月 11日
家を失くしたニューヨーカー |
ここ数日,ニューヨークのTVや新聞で騒がれているニュースがある。5th Aveの74丁目と75丁目にあるアパートメントに巣を作って住んでいたRed-tail Hawk(赤い尾の鷹)が,その巣をアパートメント住人の決定により取り除かれたというものだ。数ヶ月前にこのニュースを聞いたら「何だ,鳥の巣くらい」と思ったかもしれない。しかし,このHawkは私のいるクラスにとって,いや,ニューヨークにとって,非常に大きな出来事であった。
今回取り除かれた巣の主人は「Pale Male(ペイルメイル)」と呼ばれていて,何と1993年からその巣に住んでいる。普通,鷹は木に巣を作る。ビルに巣を作るのは珍しく,当初からセントラルパークに集まる熱心なバードウォッチャーにより観察され,本やTV番組にもなっていた。その中ではPale Maleの生活が詳しくリポートされ,特に彼の子供が生まれる時期になると,巣のよく見えるセントラルパークイーストのCONSERVATORY WATERに,ニューヨークのみならず,遠方からもPale Maleファンが集まった。彼は世界で最も有名なHawkかもしれない。以前この巣のあるアパートの2軒隣にウディアレンが住んでいて,彼も時折Pale Maleを眺めていたそうだ。
(写真の真ん中の少し低いビルが巣のあったビル)
実はこの秋,私たちのクラスではこのPale Maleの本を教材に使い,彼の10数年の生活を辿ったばかりだった。この10数年で,彼と4羽の奥さん(Chocolate, First love, Blue, Lola)との間には23羽もの子供が産まれている。実際にその本の作者と一緒に巣を観察したのは,つい先月のことだ。本来なら渡り鳥である彼だが,いつも雄々しくセントラルパークを見下ろし,寒くなっても5th Aveにそのまま留まる彼のことを,クラスの誰かが「彼もニューヨーカーなんだね」なんて言っていた。私もこの巣の存在を知ってから,どうも彼に愛着が湧き,個人的に公園に行った際,CONSERVATORY WATERのアンデルセン像横のベンチでいつも巣の観察をしているおんちゃんに,望遠鏡を覗かせてもらったりしていた。
それが・・・この悲劇である。おとといの朝,マリー先生が届いたばかりのニューヨークタイムズの記事を持ってきて私たちはそれを知った。アパートの住人はかねてから巣にいるPale Maleの子供たちを狙って集まる「ハト」の被害に悩まされており,最近の理事会議にてその巣の除去が決まったとのこと,物事にはすべて両面があり,住人たちは住人たちで切実な問題だっただろうが,Pale Maleの生活も家族も知っている私達はしばらくの間言葉をなくしてしまった。この件は,昨日の「メトロ」でも,ジョンレノンの命日の記事を差しおいて「Homeless Hawks」と題しトップニュースとなっており,他の新聞も,今の奥さん「Lola」が,巣のあった場所の上をひたすら飛んでいると引き続き記事を載せていた。バードウォッチャー達はこの日曜日,抗議のデモンストレーションをやるらしい。
しかし,今日見た記事では,どうやらPale Maleが小枝を運んだりして,また同じ場所に巣を作る気配を見せているらしい。またそこに作ったら取り除かれるのでは?と思うが,彼は「ここが俺の居場所だ」と言わんばかりに,上空を行ったり来たりしているとのこと。私たちクラスは,しばらくニュースから目が離せないとともに,どうにかして彼にニューヨークに居て欲しい,と願っている。
Pale Male HP
今回取り除かれた巣の主人は「Pale Male(ペイルメイル)」と呼ばれていて,何と1993年からその巣に住んでいる。普通,鷹は木に巣を作る。ビルに巣を作るのは珍しく,当初からセントラルパークに集まる熱心なバードウォッチャーにより観察され,本やTV番組にもなっていた。その中ではPale Maleの生活が詳しくリポートされ,特に彼の子供が生まれる時期になると,巣のよく見えるセントラルパークイーストのCONSERVATORY WATERに,ニューヨークのみならず,遠方からもPale Maleファンが集まった。彼は世界で最も有名なHawkかもしれない。以前この巣のあるアパートの2軒隣にウディアレンが住んでいて,彼も時折Pale Maleを眺めていたそうだ。
(写真の真ん中の少し低いビルが巣のあったビル)
実はこの秋,私たちのクラスではこのPale Maleの本を教材に使い,彼の10数年の生活を辿ったばかりだった。この10数年で,彼と4羽の奥さん(Chocolate, First love, Blue, Lola)との間には23羽もの子供が産まれている。実際にその本の作者と一緒に巣を観察したのは,つい先月のことだ。本来なら渡り鳥である彼だが,いつも雄々しくセントラルパークを見下ろし,寒くなっても5th Aveにそのまま留まる彼のことを,クラスの誰かが「彼もニューヨーカーなんだね」なんて言っていた。私もこの巣の存在を知ってから,どうも彼に愛着が湧き,個人的に公園に行った際,CONSERVATORY WATERのアンデルセン像横のベンチでいつも巣の観察をしているおんちゃんに,望遠鏡を覗かせてもらったりしていた。
それが・・・この悲劇である。おとといの朝,マリー先生が届いたばかりのニューヨークタイムズの記事を持ってきて私たちはそれを知った。アパートの住人はかねてから巣にいるPale Maleの子供たちを狙って集まる「ハト」の被害に悩まされており,最近の理事会議にてその巣の除去が決まったとのこと,物事にはすべて両面があり,住人たちは住人たちで切実な問題だっただろうが,Pale Maleの生活も家族も知っている私達はしばらくの間言葉をなくしてしまった。この件は,昨日の「メトロ」でも,ジョンレノンの命日の記事を差しおいて「Homeless Hawks」と題しトップニュースとなっており,他の新聞も,今の奥さん「Lola」が,巣のあった場所の上をひたすら飛んでいると引き続き記事を載せていた。バードウォッチャー達はこの日曜日,抗議のデモンストレーションをやるらしい。
しかし,今日見た記事では,どうやらPale Maleが小枝を運んだりして,また同じ場所に巣を作る気配を見せているらしい。またそこに作ったら取り除かれるのでは?と思うが,彼は「ここが俺の居場所だ」と言わんばかりに,上空を行ったり来たりしているとのこと。私たちクラスは,しばらくニュースから目が離せないとともに,どうにかして彼にニューヨークに居て欲しい,と願っている。
Pale Male HP
by gogo_sally_ny
| 2004-12-11 13:11
| NY・アメリカ・異文化